6月から木・金曜日の午前が手術日となります。

日帰り手術
6月から木・金曜日の午前が手術日となります。
当院では鼻中隔湾曲症による「鼻づまり」に対して
局所麻酔を用いた日帰り手術で鼻中隔矯正術を行っております。
目次
鼻中隔弯曲症とは、左右の鼻腔を仕切る鼻中隔が、
鼻の奥にで左右どちらかC字またはS字状に強く曲がっている状態を指します。
鼻と鼻中隔は成長とともに大きくなり前後、上下に広がります。
その過程で、鼻中隔にたわみ(湾曲)が生じることがあります。
この湾曲は、10歳頃から徐々に強くなり、女性では13~15歳、男性では15~18歳頃に完成します。
鼻中隔の弯曲は、頑固な鼻詰まり(鼻閉)、鼻出血、副鼻腔炎などの原因となることがあります。
実際に、成人の90%以上に弯曲が存在しますが、弯曲が強く鼻の症状が続く場合にのみ治療が必要とされます。
鼻中隔矯正術の目的は、鼻中隔の曲がった部分を正常な状態に戻すことです。
手術では、曲がった軟骨や骨を取り除き、真っ直ぐな状態に矯正します。
これにより鼻腔内の空気の流れが改善され、
鼻詰まりや呼吸困難などの症状が軽減されることが期待されます。
通気の妨げになる部分だけを切除するため鼻の外見は変わりません。
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鼻中隔(鼻の中央にある板)が曲がっており右側の鼻が狭くなっています。 |
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鼻の内部から鼻中隔に切り込みを入れます。 この切込みから鼻中隔の粘膜を剥離していき、曲がった軟骨や骨を露出します。 |
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湾曲の原因となっている軟骨や骨を切除します。 |
④![]() |
術後粘膜が落ち着くと鼻の通りが良くなります。 |
当院では内視鏡と手術器具を鼻孔から挿入し、鼻内で手術を行いますので顔に傷は残りません。
鼻中隔湾曲症で、最も問題になるのが鼻づまり(鼻閉)です。
高度な鼻中隔湾曲症では、S字に曲がっていることが多く、両側の鼻で空気の通りが悪くなります。
鼻中隔の張り出しが強いと、その頂点は物理的に傷が付きやすくなり鼻出血を繰り返すことがあります。
鼻の空気の通りが悪いと、副鼻腔の換気が悪くなる場合があります。
副鼻腔炎になった際に換気が悪いと慢性副鼻腔炎に移行する場合があります。
鼻閉により鼻呼吸ができなくなると、夜間の呼吸がしにくくなります。
これにより睡眠時無呼吸症候群の症状が悪化して言う場合があります。
夜間鼻呼吸ができないと口呼吸となります。
口呼吸では咽頭が乾燥し、ウィルスに対する抵抗性が落ちます。
このため結果的にインフルエンザやかぜなどのウィルス感染をおこしやすくなります。
鼻中隔矯正術の前に行う検査を紹介いたします。
必要に応じて複数の検査を行い矯正すべき部位を判断します。
内視鏡を用いて、鼻中隔後方の曲がりの程度を確認します。
鼻中隔の曲がりが強すぎて、内視鏡でも後方が見えない場合に鼻中隔の曲がりを確認する方法です。
副鼻腔も含めて撮影するため、副鼻腔炎や肥厚性鼻炎の有無の評価も同時にできます。
鼻中隔湾曲症にアレルギー性鼻炎を併発している場合、症状がより強く出ます。
鼻中隔湾曲症とアレルギー性鼻炎どちらかの治療をしても症状が十分に改善しない場合があるため、アレルギー性鼻炎・花粉症がないかを確認します。
鼻づまりの症状について手術希望をうかがいます。
鼻中隔湾曲の程度がひどい場合、医師から手術をおすすめする場合もあります。
鼻中隔矯正術を行う前に各種検査を行い手術適応を検討します。
また、他に副鼻腔炎など合併症があった場合、同時手術をおすすめすることもあります。
胃カメラなどで使用するすこし眠くなる薬を点滴を行います。
また前処置として鼻の中に麻酔液のついたガーゼを挿入し15~20分程度安静にします。
手術開始時に再度局所麻酔をおこないます。
鼻の穴から1cm程度奥で鼻中隔の粘膜を薄く切開します。
曲がった軟骨、骨を確認し、鼻づまりの原因となっている範囲を切除します。
切開した粘膜を縫合した後、鼻の中にタンポン(スポンジ)を挿入して手術終了です。
手術後に約1時間安静にする時間を取り、問題がないことを確認し帰宅となります。
3~4日後に鼻内のタンポンを取り除きます。
その後は傷の治り方によりますが、週1回程度の経過観察を行います。
術後の粘膜はゴミが付きやすくなるので、自宅では鼻洗浄を行っていただきます。
傷は1週間以内にくっつき、1ヶ月もすると切開した粘膜はきれいな状態になります。
鼻中隔矯正術は約30分ほどで終わりますが、
多くの場合、他の手術(粘膜下下鼻甲介骨切除術、後鼻神経切断術、内視鏡下鼻副鼻腔手術)と組み合わせて実施されます。
そのため、手術内容によっては、全体で2時間前後かかることがあります。
粘膜を切開したり、骨を切除するため少量の出血があります。
タンポンを入れているときは大きな問題になりません。
大量に出血することは大変まれですが、その場合は止血の処置を行う必要が生じる可能性があります。
極度に曲がりの強い鼻中隔湾曲症では骨や軟骨が棘のようになっている場合があります。
この場合その頂点の粘膜は大変薄くなっており脆弱です。その部分に穴が空いてしまう場合があります。
逆側の粘膜を温存できればその穴は塞がりますが、稀に両側の粘膜に穴があき、
術後その穴が残ってしまう(鼻中隔穿孔)場合があります。
多くの場合生活に支障がありませんが、希望があれば閉鎖することも可能です。
鼻を支える骨や軟骨を切除すると鼻が低くなる場合があります。
しかし通常鼻中隔湾曲症では鼻を支える構造の部分には手を加えないため術前後で鼻の高さは変わりません。当院では鼻中隔の湾曲部分のみを切除し、鼻の高さを変えないような手術を行っております。
左右の鼻中隔粘膜の間に血液が溜まる(血腫)ことがあります。
術中の止血をしっかり行っているのでこれが起きることは稀です。
万一生じた場合には注射針で穿刺を行ったり、血の塊を除去します。
保険点数 | 6,620点 |
自己負担額 | 19,860円(3割負担) |
(これに加えて再診料、処方料、術前の検査費用などがかかります。)
鼻閉でお困りの方は
などの鼻の疾患を併発している場合があります。
その場合は同時にそれらの症状を改善する手術を施行することも可能です。
鼻中隔矯正術以外の手術の適応についても判断しますので、一度受診ください。
手術総額が一定額を上回った場合、「高額療養費制度」もご利用できます。
高額療養費とは、1ヶ月単位で定められた医療費以上の自己負担が免除される制度です。
ある1ヶ月の間にかかった医療費の自己負担額が高額になった際に、一定の金額を超えた分が、あとで払い戻されます。
手術をおこなう場合には医療費が高額になりがちなため、この高額療養費制度をご紹介しております。
加入する健康保険組合に事前に手続きを行うと「限度額適用認定証」が発行されます。
この認定証を事前に申請し、手術の日にご提示いただくと負担額が軽くなります。
加入している保険(国民健康保険、健康保険、船員保険、共済組合、後期高齢者医療制度)や、年収により条件が異なります。
詳しくは加入している保険にお問合せください。
※事前に「限度額適用認定証」交付を受けなかった場合は、
手術を受けた月の翌月の初日から2年以内に手続きすれば適用されます。
高額療養費制度以外に保険組合独自の「付加給付」として、
上記の高額医療費の額よりも低い自己負担限度額を設定している組合もあります。
詳細につきましては、ご自身が加入する保険組合にお問い合わせください 。
*手術費用以外に術前の検査料、再診料、術後の薬剤料等が加わります。