12月21日、22日の午前は通常の外来診療を行います。 年末年始の休診は12月27日から1月3日までとなります。

日帰り手術
12月21日、22日の午前は通常の外来診療を行います。 年末年始の休診は12月27日から1月3日までとなります。
慢性副鼻腔炎は鼻ポリープを生じ、鼻づまりや嗅覚障害など多くの問題を引き起こします。
また鼻ポリープは再発リスクが極めて高いものもあります。
当院では局所麻酔を用いた日帰り手術で「内視鏡下鼻副鼻腔手術」を行っております。
目次
副鼻腔は鼻の奥にある小さな空洞が集まってできた空間です。
副鼻腔は大きく分けて
・額の奥にある「前頭洞」
・目の下~鼻の側面にある「上顎洞」
・両目の間にある「篩骨洞」
・最深部にある「蝶形骨洞」
があります。
副鼻腔の機能としては空気中のちりなどの除去、加湿、声の反響などがあります。
副鼻腔は骨と粘膜でできた空洞で、本来は空気で満たされています。
副鼻腔に不具合があると、副鼻腔のなかに膿がたまったり、粘膜が肥厚してしまうことで鼻づまりや嗅覚障害、頭痛などの症状が現れることがあります。
慢性副鼻腔炎は、副鼻腔内部に長期にわたる炎症のため、粘膜の肥厚が顕著になり鼻ポリープ(鼻茸)ができてしまった状態を指します。
まずは抗菌薬や、排膿を促す薬を内服することで炎症の改善を図ります。(保存的療法)
この治療法は長いと数カ月間に及びます。
それでも改善が見られない場合は手術を選択します。
特に鼻ポリープ(鼻茸)が大きくなって長時間経つ場合は、保存的療法の効果がなく手術を選択する場合が多いです。
当院では慢性副鼻腔炎に対して、局所麻酔を用いた日帰り手術を行っております。
もともと副鼻腔にはそれぞれ換気用の小さな孔がありそれぞれ繋がっていますが、慢性副鼻腔炎では粘膜の浮腫やポリープによって塞がってしまい換気が悪くなっています。
慢性副鼻腔炎の治療では、副鼻腔同士の空気の流れを改善させることが必要となります。
副鼻腔炎の手術では、空気の出入り口が閉鎖してしまった副鼻腔の隔壁を取り去って中を掃除することで広い空間にします。
これにより「副鼻腔炎になりにくい鼻の構造に作り変える」のが副鼻腔炎の手術の目的です。
①![]() |
鼻の奥はたくさんの小さな空間に分かれています。 これが副鼻腔です。 それぞれの空間は狭い通路でつながっており、この通路を介して換気が行われています。 |
②![]() |
風邪や急性副鼻腔炎などの炎症により粘膜が肥厚します。 粘膜が肥厚し、副鼻腔間の換気が悪くなり膿がたまります。 副鼻腔から溢れ出た膿が異臭の原因となります。 炎症が長期間持続するとむくんだ粘膜からポリープが出現します。 ポリープが生じるとより換気が悪くなり、今まで以上に副鼻腔炎が改善しない環境になっていきますこの状態が「慢性副鼻腔炎」です。 |
③![]() |
手術により副鼻腔同士の隔壁やポリープを取り去る事により 大きな一つの空洞に作り変えます。 これにより多少の風邪などで粘膜肥厚が生じても副鼻腔炎になりにくくなります。 慢性副鼻腔炎の手術は今後も副鼻腔炎になりにくくする「鼻のリフォーム」です。 |
当院ではすべての行程を鼻の中から行う「内視鏡下鼻副鼻腔手術 (Endoscopic Sinus Surgery : ESS)」を採用しています。
この手術法は鼻の中で手術が完結するため外見に影響はでません。
また内視鏡を使わない手術に比べて出血や術後痛みも少なく、術後の回復も早いです。
従来の手術のように術直後に顔が腫れたり、頬がしびれるなどの後遺症もありません。
副鼻腔の近くには脳や眼といった重要な構造が接しているため、
合併症を防ぎながら正確な手術を行うためには高度な内視鏡手術の技術と専用の手術器械を必要とします。
当院ではフルハイビジョンの内視鏡カメラ、マイクロデブリッダー(ポリープを迅速に切除する器械)、多数の鉗子(骨や粘膜を切除する細長い専用器具)を導入しております。
フルバイビジョンのカメラユニットを用いて画面をみながら手術を進めます。
4mmの細い内視鏡を使用しており精密な手術を行うのに必要な高画質が得られます。
副鼻腔の構造は複雑なため複数の角度の内視鏡を取り揃えており見落としを防いでいます。
当院では麻酔下に手術を行うため、全身麻酔よりも「鼻に優しい」手技が求められます。
全身麻酔で手術を行う場合は意識がないため必要最小限の器械で無理やり角度をつけて手術をすることがあります。
しかし様々な先端の形・角度の器械取り揃え、適切に使い分けることにより鼻に負担がかからないように手術を行っております。
当院の術後の止血方法は、自然と溶けていくの綿状の止血剤やすぐに抜けるタイプのスポンジ状の止血剤を用いています。
基本的にガーゼをパンパンに詰めて圧迫することはせず、抜去時に苦痛が少ない資材を選択しております。
慢性副鼻腔炎では鼻中隔湾曲症、肥厚性鼻炎、アレルギー性鼻炎などを併発していることがあります。
これらの有無も含めて術前に十分な検査を行います。
内視鏡を用いて、鼻腔後方まで粘膜の浮腫、鼻汁の程度、ポリープの有無を評価します。
CTは副鼻腔炎を評価する最も優れた検査です。
副鼻腔は入り組んでいるため内視鏡ではすべての副鼻腔を評価するのは困難です。
CTでは全ての副鼻腔の状態を評価することができます。
アレルギー性鼻炎があると、鼻の環境が悪化し副鼻腔炎の原因となります。
アレルギー性鼻炎の有無を事前に評価して術前、術後の炎症を抑える治療を行います。
鼻づまりや嗅覚障害などの訴えで受診される方が多いです。
他院で内視鏡検査やCTで慢性副鼻腔炎が指摘された場合は多くが進行した状態となっているため手術をおすすめする事が多いです。
内視鏡下鼻副鼻腔手術を行う前に各種検査を行い手術適応を検討します。
また、他に鼻閉や副鼻腔炎など合併症があった場合、同時手術をおすすめすることもあります。
他に鼻中隔湾曲症や肥厚性鼻炎などがある場合、鼻中隔矯正術や下鼻甲介手術の併施をおすすめする場合もあります。
手術開始の15~20分程度前に、鼻の中に麻酔液のついたガーゼを挿入することで予め麻酔をきかせます。
眠くなる薬(鎮静剤)を点滴しつつ、手術を開始します。
必要時に局所麻酔を追加しながら手術を行います。
各副鼻腔を順次開放していき、内部の状態を評価します。
炎症所見があれば膿を吸引したり炎症粘膜を除去します。
必要に応じて粘膜の一部を顕微鏡で組織を確認する病理検査に提出します。
手術後に安静にする時間を取り、
出血や意識レベルなどの問題がないことを確認し帰宅となります。
3~4日後に鼻内のタンポン(スポンジ)を取り除きます。
その後は週1回程度の経過観察を行い術後の鼻の状態を評価します。
鼻の中の傷は1週間以内に治癒し始め、1~2ヶ月程度で切開した粘膜はきれいな状態になります。
再発のリスクがあるため慢性副鼻腔炎では1年程度、
再発リスクが極めて高い難病である好酸球性副鼻腔炎の場合は数年間の経過観察を行います。
内視鏡下鼻副鼻腔手術は開放する副鼻腔の数にもよりますが、片側おおよそ30分程度です。
(下鼻甲介手術や、鼻中隔矯正術など複数の手術を同時にを行う場合は2時間前後かかる場合があります。)
粘膜を切開したり、骨を一部切除するため一定量の出血があります。
鼻内にタンポンを入れているときは圧迫止血が行われており大きな問題になることは非常にまれです。
大量に出血することは大変まれですが、その場合は止血の処置を行う必要が生じる可能性があります。
慢性副鼻腔炎ではもともと副鼻腔炎の換気が悪く、細菌感染が起こりやすい状態となっています。
手術でその改善を目指しますが、術後の回復期に粘膜が腫れることにより換気が悪くなり再度最近感染が起きてしまう場合があります。
その場合は抗菌薬を用います。術後に行う鼻洗浄(鼻うがい)をしっかり行うことで予防に繋がります。
副鼻腔炎の手術を行ったあとでも炎症が遷延する場合、慢性副鼻腔炎を再発してしまう場合があります。
特に好酸球性副鼻腔炎の場合はポリープの再発率が高いため、術後のフォローが重要です。
手術後にポリープなどが再発せずに良好に経過する割合は70%程度です。
難病の好酸球性副鼻腔炎の場合、重症度によっては半数以上の方が再発します。
ただし外来での処置や内服治療、そのほかの追加治療によって再手術を回避できることも多いので
術後も状態をしっかり確認していくことが大切です。
慢性副鼻腔炎には多くの術式があります。
どの術式を選択するかは、内視鏡やCTの所見を勘案して決定します。
以下に比較的行う頻度の高い副鼻腔炎の手術を紹介します。
保険点数 | 12,000点 |
自己負担額 | 36,000円(3割負担) |
保険点数 | 24,910点 |
自己負担額 | 74,730円(3割負担) |
(これに加えて再診料、処方料などがかかります。)
鼻づまりでお困りの方は
などの鼻の疾患を併発している場合があります。
その場合は同時にそれらの手術を施行することも可能です。
これらの手術の適応についても各種検査を行い判断いたしますので、当院までご相談ください。
手術総額が一定額を上回った場合、「高額療養費制度」もご利用できます。
高額療養費とは、1ヶ月単位で定められた医療費以上の自己負担が免除される制度です。
ある1ヶ月の間にかかった医療費の自己負担額が高額になった際に、一定の金額を超えた分が、あとで払い戻されます。
手術をおこなう場合には医療費が高額になりがちなため、この高額療養費制度をご紹介しております。
加入する健康保険組合に事前に手続きを行うと「限度額適用認定証」が発行されます。
この認定証を事前に申請し、手術の日にご提示いただくと負担額が軽くなります。
加入している保険(国民健康保険、健康保険、船員保険、共済組合、後期高齢者医療制度)や、年収により条件が異なります。
詳しくは加入している保険にお問合せください。
※事前に「限度額適用認定証」交付を受けなかった場合は、
手術を受けた月の翌月の初日から2年以内に手続きすれば適用されます。
高額療養費制度以外に保険組合独自の「付加給付」として、
上記の高額医療費の額よりも低い自己負担限度額を設定している組合もあります。
詳細につきましては、ご自身が加入する保険組合にお問い合わせください 。
*手術費用以外に術前の検査料、再診料、術後の薬剤料等が加わります。