6月から木・金曜日の午前が手術日となります。

慢性副鼻腔炎とは

「副鼻腔」とは

副鼻腔は鼻の奥にある小さな空間です。

副鼻腔は大きく分けて
・額の奥にある「前頭洞
・目の下~鼻の側面にある「上顎洞
・両目の間にある「篩骨洞
・最深部にある「蝶形骨洞
があります。

これらの副鼻腔は骨と粘膜でできた空洞で、本来は空気で満たされています。
副鼻腔に不具合があると、副鼻腔のなかに膿がたまったり、粘膜が肥厚してしまうことで鼻づまりや嗅覚障害、頭痛などの症状が現れることがあります。

慢性副鼻腔炎は、副鼻腔内部に長期にわたる炎症が起こり、ポリープができていたり膿がたまっていたりする状態を指します。

 

慢性副鼻腔炎の症状

  1. 鼻づまり:鼻の通りが悪くなり、呼吸が困難になることがあります。
  2. 鼻汁:鼻水が出てきます。黄色や緑色などの色がついていることがあります。
  3. 頭痛:目の奥や額のあたりに強い痛みがあります。
  4. 嗅覚障害:食べ物の匂いや香水の香りがわからなくなります。時には全く匂いを感じられなくなることがあります。
  5. 歯痛:上顎の副鼻腔の炎症が原因で、歯が痛くなることがあります。
  6. 頬の腫れ:副鼻腔内にたまった痰や膿が、頬の腫れを引き起こすことがあります。
  7. いびき、口呼吸:鼻づまりがひどいと、口を開けて呼吸することが多くなります。
  8. 睡眠障害:鼻づまりが原因で、睡眠中に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」を引き起こすことがあります。
  9. 喉の違和感:粘性の高い鼻水が喉に降りていくと喉の違和感をが生じることがあります。
  10. 発熱:副鼻腔炎は、細菌が原因となることが多く、発熱が生じることがあります。
  11. 倦怠感:副鼻腔炎が進行すると、全身の疲れや倦怠感が生じることがあります

 

慢性副鼻腔炎の治療

まずは抗菌薬や、排膿を促す薬を内服することで炎症の改善を図ります。(保存的療法)
それでも改善が見られない場合は手術を選択します。

特に鼻ポリープ(鼻茸)が大きくなって長時間経つ場合は、保存的療法の効果がなく手術を選択する場合が多いです。

当院では慢性副鼻腔炎に対して、局所麻酔を用いた日帰り手術を行っております。

 

内視鏡下鼻副鼻腔手術の術前に行う検査

 

内視鏡検査

内視鏡を用いて、鼻腔後方まで粘膜の浮腫、鼻汁の程度、ポリープの有無を評価します。

 

CT

CTは副鼻腔炎を評価する最も優れた検査です。
副鼻腔は入り組んでいるため内視鏡ではすべての副鼻腔を評価するのは困難です。
CTでは全ての副鼻腔の状態を評価することができます。

 

アレルギー検査

アレルギー性鼻炎があると、鼻の環境が悪化し副鼻腔炎の原因となります。
アレルギー性鼻炎の有無を事前に評価して術前、術後の炎症を抑える治療を行います。

 

手術の流れ

手術の希望をうかがう

鼻づまりや嗅覚障害などの訴えで受診される方が多いです。
他院で内視鏡検査やCTで慢性副鼻腔炎が指摘された場合は手術希望をうかがいます。

 

術前検査

内視鏡下鼻副鼻腔手術を行う前に各種検査を行い手術適応を検討します。

また、他に鼻閉や副鼻腔炎など合併症があった場合、同時手術をおすすめすることもあります。

 

他に鼻中隔湾曲症や肥厚性鼻炎などがある場合、鼻中隔矯正術や下鼻甲介手術の併施をおすすめする場合もあります。

 

手術当日

術前処置

手術開始の15~20分程度前に、鼻の中に麻酔液のついたガーゼを挿入することで予め麻酔をきかせます。

手術

眠くなる薬(鎮静剤)を点滴しつつ、手術を開始します。
必要時に局所麻酔を追加しながら手術を行います。

各副鼻腔を順次開放していき、内部の状態を評価します。
炎症所見があれば膿を吸引したり炎症粘膜を除去します。

必要に応じて粘膜の一部を顕微鏡で組織を確認する病理検査に提出します。

手術後に安静にする時間を取り、
出血や意識レベルなどの問題がないことを確認し帰宅となります。

 

術後

3~4日後に鼻内のタンポン(スポンジ)を取り除きます。
その後は週1回程度の経過観察を行い術後の鼻の状態を評価します。

鼻の中の傷は1週間以内に治癒し始め、1~2ヶ月程度で切開した粘膜はきれいな状態になります。

慢性副鼻腔炎は再発のリスクがあるため、1年程度は経過観察を行います。

再発リスクが極めて高い『好酸球性副鼻腔炎』の診断となった場合は
3年以上の経過観察が必要となります。

 

 

手術時間

内視鏡下鼻副鼻腔手術は開放する副鼻腔の数にもよりますが、片側おおよそ30分程度です。

(下鼻甲介手術や、鼻中隔矯正術など複数の手術を同時にを行う場合は2時間前後かかる場合があります。)

 

副作用・合併症

出血

粘膜を切開したり、骨を一部切除するため一定量の出血があります。
鼻内にタンポンを入れているときは圧迫止血が行われており大きな問題になることは非常にまれです。
大量に出血することは大変まれですが、その場合は止血の処置を行う必要が生じる可能性があります。

感染

慢性副鼻腔炎ではもともと副鼻腔炎の換気が悪く、細菌感染が起こりやすい状態となっています。
手術でその改善を目指しますが、術後の回復期に粘膜が腫れることにより換気が悪くなり再度最近感染が起きてしまう場合があります。
その場合は抗菌薬を用います。術後に行う鼻洗浄(鼻うがい)をしっかり行うことで予防に繋がります。

副鼻腔炎の再発

副鼻腔炎の手術を行ったあとでも炎症が遷延する場合、慢性副鼻腔炎を再発してしまう場合があります。
特に好酸球性副鼻腔炎の場合はポリープの再発率が高いため、術後のフォローが重要です。

 

手術費用

慢性副鼻腔炎には多くの術式があります。
どの術式を選択するかは、内視鏡やCTの所見を勘案して決定します。
以下に比較的行う頻度の高い副鼻腔炎の手術を紹介します。

 

手術名:K340-4 内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅱ型(副鼻腔単洞手術;片側)

保険点数 12,000点
自己負担額 36,000円(3割負担)

 

手術名:K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅲ型(選択的(複数洞)副鼻腔手術;片側)

保険点数 24,910点
自己負担額 74,730円(3割負担)

(これに加えて再診料、処方料などがかかります。)

 

他に鼻閉の原因疾患が併発していた場合

鼻づまりでお困りの方は

  • 肥厚性鼻炎
  • 鼻中隔湾曲症
  • 鼻茸、鼻ポリープ
  • 慢性副鼻腔炎

などの鼻の疾患を併発している場合があります。

その場合は同時にそれらの手術を施行することも可能です。
これらの手術の適応についても各種検査を行い判断いたしますので、当院までご相談ください。

 

高額療養費制度について

手術総額が一定額を上回った場合、「高額療養費制度」もご利用できます。

高額療養費とは、1ヶ月単位で定められた医療費以上の自己負担が免除される制度です。

ある1ヶ月の間にかかった医療費の自己負担額が高額になった際に、一定の金額を超えた分が、あとで払い戻されます
手術をおこなう場合には医療費が高額になりがちなため、この高額療養費制度をご紹介しております。

加入する健康保険組合に事前に手続きを行うと「限度額適用認定証」が発行されます。
この認定証を事前に申請し、手術の日にご提示いただくと負担額が軽くなります。

加入している保険(国民健康保険、健康保険、船員保険、共済組合、後期高齢者医療制度)や、年収により条件が異なります。
詳しくは加入している保険にお問合せください。

※事前に「限度額適用認定証」交付を受けなかった場合は、
手術を受けた月の翌月の初日から2年以内に手続きすれば適用されます。

 

具体的な自己負担額はこちら

 

医療保険組合独自の付加給付制度について

高額療養費制度以外に保険組合独自の「付加給付」として、
上記の高額医療費の額よりも低い自己負担限度額を設定している組合もあります。
詳細につきましては、ご自身が加入する保険組合にお問い合わせください 。

*手術費用以外に術前の検査料、再診料、術後の薬剤料等が加わります。